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第2576日目 〈鎌倉の古我邸のこと。〉 [日々の思い・独り言]

 あなたはJR横須賀線を使ってここへ来たのだろうか。それとも江ノ電? まぁどちらでも構わない、電車を降りたら西口に出て、目の前のバス道路を市役所前の交差点まで歩こう。信号を右方向へ折れ、道なりに150メートル程北へ。そうすると、鎌工会館ビルを右斜め前に臨む十字路へ出る。そこを左に曲がって日本キリスト教会鎌倉栄光教会の前を通り過ぎて歩くこと、約60メートル。厳めしい鉄製の両開き扉の前に出る。
 そうして扉の柵の間から奥を窺うと、<ザ・洋館>としか言い様のない建物を目にするはずだ。ここが「鎌倉三大洋館」で近頃まで唯一非公開を守り続けた古我邸である。数年前に当主が逝去されたあとは取り壊しの話もあったようだが、現在は装い新たにフレンチ・レストランとして新しい一歩を踏み出している由。
 もとより鎌倉散策の名所、隠れた観光スポットとして知られていた古我邸の前を一時期、明らかに異質な面子が邸の写真を撮ったり、同行者と顔を寄せ合い恍惚の表情(?)を浮かべて何事かを囁き交わしている光景を、扇ガ谷のあたりを散策路としていたわたくしは、確かに見たことがある。当時は「聖地巡礼」なんて言葉、一般化していなかったから、なにかのドラマ映画にでも使われたのかなぁ、ぐらいにしか思うていなかったのだけれど、20世紀から21世紀になり、今年2017年になってようやっとわたくしは、あのときかれらを古我邸前まで来させたその原動力がなんだったのかを知った。
 あれはやはり「聖地巡礼」だったのだ。そうしてわたくしもつい最近、改めて同じことをしてきた。散策に使わなくなってずいぶんとなるけれど、あたりの景観はまるで変わることなく、そこに在り続けていたものだから、駅を出てからこちらへ来るまでのふとした瞬間にタイムスリップしてしまうたかと錯覚した程だ。そうしてかの古我邸も前述の通りフレンチレストランとして生まれ変わり、相変わらず深い新緑の森を背中にして、そこへ静かに建っていた……。
 そうか、この見馴れた古我邸が時計館のモデルになったのか。自分が立つのとあまり変わらぬ位置に、鮎川哲也と綾辻行人が立っていたのか。そんな風な感慨に浸りながら、その一方でかつて目撃した、ここに足を運んで写真撮影したり、何事かを囁き交わす人々の光景を思い出す。成程、所がわかっていれば熱心なファンなら一目見たい気分にはなるよなぁ……。
 古我邸は現在フレンチ・レストランとしてランチもディナーも行っているが、前庭(オープンエアテラス)でカフェも楽しめる。残念なことに本稿執筆の時点ではカフェでのランチは行っていない様子だが、いまの季節、源氏山から新緑の森を吹き抜けてくる風を感じながら、スパークリング・ワインや鎌倉ビール、或いはコーヒーなど味わいながら、いっときの至福を堪能してみては如何だろう。
 次は『時計館の殺人』にて鹿谷門美が立ち寄った極楽寺にある<純喫茶A>訪問の記録(?)でも綴ろうか、と企んでいる(けっして『時計館の殺人』感想の筆が遅れているがための苦肉の策ではない)。ネット情報は見ていないが、土地勘頼りにたぶんあすこだろう、という見当はついている。江ノ電沿いの坂道の……。◆

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