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第2676日目 〈陰の愛読書は、五木寛之『百寺巡礼』なのです。〉 [日々の思い・独り言]

 折に触れて、五木寛之の本を読んでいます。「読んだ」というてもその数、たかだか10冊弱に過ぎず、しかもそれを倦くことなく読み返している。「読んでいる」と胸を張っていうてよいものか、甚だ疑問な数である。
 親しんできた氏の著作は特定の土地を描いた小説、随筆ばかり。金沢へ家族旅行する、と決まった頃、本屋で文庫の棚をぼんやり眺めていたら『金沢あかり坂』(文春文庫)があった。さっそくレジへ運び、ゆっくり読んで堪能した。まだ見ぬ金沢への憧憬はいや増しに増した。そうして実際にかの地を訪れて、ほんの刹那とはいえ、ここで暮らすことを夢見たりもした。その次に読んだのは『金沢望郷歌』(文春文庫)である。
 現時点でいちばん読むことが多いのは『五木寛之の金沢さんぽ』と『百寺巡礼』(共に講談社文庫)だが、いまは『百寺巡礼』に話題を絞る。
 自分が行ったことのある寺について書かれていると、なんだかうれしい。
 最初に読んだのは第1巻『奈良』だったように思う。長谷寺と秋篠寺が取り挙げられていたのが、きっかけ。奈良県でいちばん好きなお寺は、この2つ。長谷寺はわが宗派の総本山、ゆえにあちらへ行くたび参詣する場所。秋篠寺は奈良旅行の最終日、朝に清涼かつ静穏な環境にある寺の佇まい、なによりそこに置かれる伎芸天に魅せられてしまった。そんな思い出があるからだったろう、自然と『百寺巡礼』の当該巻を選び出したのは。
 そのあとも、山形県に行って立石寺へ登ったり、岩手県に移って毛越寺と中尊寺へ参詣すれば第7巻『東北』を読み、金沢旅行の折足を伸ばして福井県に宿を取った翌る日に永平寺を詣でれば第2巻『北陸』を読んだ。自然な流れといえまいか。そうして昨年は滋賀県に旅行して、母にとって年来の願いであった延暦寺へ。そのあとは第4巻『滋賀・東海』をしばし耽読した。
 氏の寺院巡礼の随筆を読んでいると、当時の自分が見たこと、感じたことなど思い出して、またそこへ足を運びたくなる。そうして今度は氏が見たものをこの目で見、執筆にあたって参照した文献へ目を通して、目の前の事物をそれまでとは違う角度から眺めてみたい。
 その手始めに、まずは近場から始めてみよう。即ち、上皇ご退位と新天皇ご即位、令和改元に伴う10連休の1日、家族で遊んだ柴又帝釈天と隅田川縁を思い出しつつ第5巻『関東・信州』を繙いてみよう。そうしてもう一度、家族と一緒に出かけてみたい。いまは一つでもたくさんの思い出を、家族と作りたいから……。
 それにしても、どうして五木寛之は宇治平等院(京都府)を訪うて、なにごとかを書いてくれなかったのだろう。どこかでその理由は説明されているのか。『百寺巡礼』の目次を崇めるたび、その疑問がわたくしのなかでうごめいて、鎮まるまでに時間を要す。◆

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